最近のTOEICでは以前よりもリスニングの理解が難しいと感じていましたが、聞き取りが難しいのは特定の人の発音だということに気が付きました。それは、2022年あたりから新たに担当している、若いイギリス人女性の発音でした。
ちょっとネットを検索してみても、同じように苦手意識を持っている方が多いようで、「早口でわからない」とか「聞き取りづらい」という話が書かれていました。
そこで、今回TOEIC L&Rの公式問題集を元に、こちらの女性の発音傾向について分析してみました。実際にご自身で聴くのが一番だとは思いますが、みなさまのリスニングのトレーニングの一助になれば幸いです。
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イギリス英語の全体的な傾向
まず、こちらの女性ですが、全体的には一般的に言われているイギリス英語の傾向を踏襲しています。
まずイギリス英語の特徴ですが、
- ローマ字読みに近い(例:tomatoは「トメイト」ではなく「トマート」と読む)
- Tの発音を変化させず、つづりどおりに読む(例:littleは「リロー」ではなく「リトル」と読む)
- 語尾のRは舌を巻かずにそのまま伸ばす(例:starは日本語の「スター」と同じように読む)
というのが一般的に言われており、こちらの女性も同じ傾向があります。
しかし、上記に加えていくつか特徴的な違いがありますので、一つずつ見ていきたいと思います。
この方特有の傾向
①yの音がはさまる
まず、forward youが「フォワージュー」(公式問題集9・TEST1・No.16)(アメリカ英語では「フォワーデュー」)のように、アメリカ英語で「ウー」と発音するところを「ユー」と発音する傾向があります。
これはイギリス英語の特徴として時々紹介されるものなので、この方が特別というわけではないと思いますが、とても強く変化するのがこの方の特徴です。
例を以下に挙げます。
- that your「ザッチョア」
- said you're「セジュオア」
- order of「オージュロブ」
- order until「オージュランティル」
- and your「エンジョー」
②音が極端に短縮する
swimmingが「スーミング」(公式問題集9・TEST1・No.17)のように、音が極端に短縮して、別の音に変化してしまうようなことがあります。(この場合は「ウィ」が「ウー」に変化)
複数の音が極端に短縮するため、音が変化してしまうので、他の方が「早口でわからない」と言っている要因になっているのではないかと推測されます。
例を以下に挙げます。
- I'll「アー」
- that was「ザッタブ」
- what it said「ワッチュッセッドゥ」
- there's an「ダズアン」
- take advantage of「テイカッファンテッジョフ」
- note of that「ノートゥーファン」(公式問題集9・TEST2・No.13)
- award certificate「アウォード ティフィカーツ」
- come see for yourself「カムシーフ ヨセルフ」
- because we could attract a greater turnout to our theater「ビコズドゥ・トゥラク・グレイトゥ・ターナ・トゥーアセータ」(公式問題集10・TEST1・No.77-79)
- bring the figures up on my laptop「ブリン・ザフィガザポンマイ・ラップトッ」(公式問題集10・TEST1・No.77-79)
- in this「イニス」(公式問題集10・TEST1・No.95-97)
- expantion leaves「エクスパンションニーヴス」(公式問題集10・TEST2・No.68-70)
③舌の位置が上にある
photoが「フェト」(公式問題集9・TEST1・No.19)のように、母音が変化する場合があります。
口腔内で舌の位置が若干上にあるように見受けられ、口の開きもアメリカ英語に比べて小さいように聞こえるので、母音が「口腔が狭い方向」に変化する傾向があるようです。(オ→ウ、オ→エ、ア→エ、ウ→イなど)
例を以下に挙げます。
- total「チュートゥル」(公式問題集9・TEST1・No.47-49)
- attract「エトラクト」(公式問題集9・TEST1・No. 59-61)
- calls「クールズ」(公式問題集9・TEST2・No.44-46)
- proofs「プリーフス」(公式問題集9・TEST2・No.44-46)
- as 「イズ」(公式問題集9・TEST1・No.71-73)
- inferior「インフィーレー」
- sick on「セコン」
- go「グー」(公式問題集10・TEST2・No.47-49)
- over yet「オーヴィエッ」(公式問題集10・TEST2・No.50-52)
④冠詞や前置詞などが強く長い
missed aが「ミスター」のように、冠詞を強く長く発音することがあります。
他の例を以下に挙げます。
- or with「オーウィーズ」
- over on「オウフロン」
- it「イートゥ」(公式問題集10・TEST2・No.71-73)
⑤DがLやTに変化する
around hereが「アランティア」のように、Dの音がLやTに変化する傾向があります。
他の例を以下に挙げます。
- and I「アライ」
①〜⑤の組み合わせ
上記の特徴が組み合わさると、さらに聞き取りが困難になります。
以下に例を挙げます。
- soundproof inslation「サウンプルーフェンスレイション」(②と③の組み合わせ)(公式問題集9・TEST1・No.26)
- a bit early「アベターリー」(③、④の組み合わせ)(公式問題集9・TEST2・No.98-100)
- the laboratory coats「ザラボラ・チーケーツ」(③、④の組み合わせ)(公式問題集9・TEST2・No.21)
まとめ
上記をまとめると、最近のTOEICリスニングで新たに加わったイギリス英語を話す女性の特徴として、イギリス英語の一般的な特徴である
- ローマ字読みに近い(例:tomatoは「トメイト」ではなく「トマート」と読む)
- Tの発音を変化させず、つづりどおりに読む(例:littleは「リロー」ではなく「リトル」と読む)
- 語尾のRは舌を巻かずにそのまま伸ばす(例:starは日本語の「スター」と同じように読む)
に加えて、この方特有の特徴として
- yの音がはさまる(例:forward youが「フォワージュー」)
- 音が極端に短縮する(例:swimmingが「スーミング」)
- 舌の位置が上にある(例:photoが「フェト」)
- 冠詞や前置詞などが強く長い(例:missed aが「ミスター」)
- DがLやTに変化する(例:around hereが「アランティア」)
が加わっているというのが、聞き取りづらい要因と考えられます。
最後に
というわけで、これだけの変化をしていると容易に聞き取れないのは仕方がないかなという気がしてきます。一方で、このくらいの変化は聞き取れるべきというのがTOEICを主催しているETSの見解ということなのでしょう。
インド英語など、もっと独特で変化が強い英語もありますから、グローバル社会ではいろいろな英語に慣れていく必要がありますよね。とにかくたくさん聞いて、違いを聞き分けていくしかないと思っています。
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