英検対策 英語学習方法

パタプライングリッシュを連続180日、120時間続けた結果、英検1級を取得できた件

パタプライングリッシュというスピーキングの教材を2024年4月26日現在、連続330日続けています。

パタプラは、ビジネス英語のスピーキングの教材として、徹底的にリテンション(リピーティングとも言われます)をするものですが、これを続けたところ、英検1級の2次試験を一発合格できたので、その詳細についてこちらの記事でご紹介したいと思います。

もちろん、英検1級に合格するためには、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4つの技能をすべて磨かなければならず、パタプラだけをやれば合格できるというものではありません。しかしながら、スピーキングについてはこのパタプラで鍛えた瞬発力と、パタプラで紹介されている「つぶやき応用練習」という考え方が、英検1級のスピーキング試験(2次試験)でかなり有効に働いたと考えています。

実はパタプラからもインタビューをされて、その時の記事はこちらにあるのですが、パタプラ側の宣伝用のインタビューというところもあったので(もちろん嘘は言っていないのですが)、ここではもっと本音ベースで自分がメリットと思ったところと、パタプラではカバーしきれない部分について語っていきたいと思います。

要点

この記事の要点を先にお話すると、以下のとおりです。

  • パタプライングリッシュは、リテンション(リピーティング)とチャンクの入れ替えに特化した、スピーキング教材
  • 英検1級のスピーキング対策として、パタプライングリッシュでよどみなく話す訓練をした
  • 同じく、スピーキング対策として、パタプライングリッシュのつぶやき応用練習の考え方を元に、英検1級のライティング教材の音声をリテンションする訓練をしたところ、英検1級のスピーキング試験に一発合格できた
  • パタプライングリッシュはビジネス英会話に必要な瞬発力を鍛えることができるが、どんな内容でも話せるようになるわけはなく、扱っている範囲以外の練習は自分で考えてやらなければならない

以下、詳しくお話していきます。

パタプライングリッシュを使い始めたきっかけ

パタプライングリッシュはスピーキングに特化した教材です。私がパタプラを知ったのは、Facebookの広告でしたが、当時はとにかく「簡単な表現でもすぐにパッと話せない」というのが悩みでした。いちおう英検準1級の面接には対応できる程度には話すことができるのですが、試験というのは良くも悪くもそれ用の対策をすることができるので、必要な表現や想定問答をとにかく練習すれば受かってしまうという側面があります。そういうわけで、とにかくスピーキングに苦手意識があったのです。

そして、ちょうどそのときは英検1級の1次試験に8度目の挑戦をしようとしている頃で、合格に必要な膨大なボキャブラリーもかなり覚えてきて、もうすぐ合格しそうだなという感覚があったので、2次のスピーキング対策を始めなければならないという時期でした。

今までの経験的に、「英会話スクールで会話をやっていればいつか話せるようになる」とはまったく思えなかったのと、スピーキングもアプリを使った学習をするのが効率的なはずと考えていたので、適切なサービスがないか探していたところだったのです。

パタプライングリッシュとは

そんなときに出会ったパタプラは、以下を特徴にしていて、自分の過去の経験的に「必ず力になる」と確信したので購入しました。

  1. 「リテンション」と「チャンクの入れ替え」をトレーニングのベースにしていること
  2. 文字情報ではなく、音声だけ聞き、一定の時間内で言えるようにする訓練であること
  3. 徹底的な復習をすること(1レッスンの復習が8回以上)
  4. 復習のタイミングを自分で決める必要がなく、アプリが提示してくれること

まず「リテンション」についてですが、これは「1文をまるまる聞いて、聞き終わったあとにそのまま同じ文を声に出す」というものです。これはシャドーイングのように「音声を聞きながら、すぐ後にしゃべりながらついていく」というものではなく、「聞いた内容をしっかりと頭の中に保持しておいて、聞き終わった後に再度自分で言い直す」というものなので、短期記憶の増強にもつながり、リスニングのスキルを伸ばすためにも有効な訓練方法です。

例えば、「I need you to work on the sales forecast.」という文が流れて来たら、決められたポーズのあいだに、聞こえたとおりに「I need you to work on the sales forecast.」と発話します。これが「リテンション」です。

次に、「チャンクの入れ替え」ですが、チャンクとは「かたまり」という意味で、文を構成する部品のようなものです。これをどんどん入れ替えて、新しい文を構成していきます。

例えば、「I need you to work on the sales forecast.」という文が流れてきたら、まずは一度リテンションで同じ文をそのまま言いますが、次に「gather informaion on our competitors」というチャンクが聞こえてきたら、「I need you to gather information on our competitors.」と発話します。前半をそのままにして、後半を新しいものに入れ替えるわけです。これが「チャンクの入れ替え」です。

このようなリテンションやチャンクの入れ替えを、一定の時間内で言えるようにしなければならないので、少しでも「えーと」などと考えると言い終わらないことになります。最初はほとんどうまく言えないのですが、何度も繰り返し復習をしていくうちに、チャンクが頭の中に入ってきて、少しずつよどみなく言えるようになってきます

この「チャンクを入れ替えていく」という話し方が、ネイティブが話をするときに頭の中で行っていることだと、パタプラでは説明しています。確かに、私たちも日本語で話をするときに、最初から文全体を考えているわけではなく、話しながら次に何を話すかを考えてしゃべっていますよね。そういう感覚を身につけるための訓練ができるわけです。

パタプラではこういった訓練をトータルで120時間以上やりましょうと言っています。1日1時間できたとしても、およそ4ヶ月はかかりますし、リテンションも結構骨が折れる作業なので、万人におすすめできるわけではありませんが、「TOEICのスコアの割にはうまく話せない」と考えている人にはとても有効な訓練だと思います。

パタプライングリッシュで取り組んだ内容

パタプラには、上記のようなリテンションとチャンク入れ替え以外の訓練として、つぶやき応用練習というのが紹介されています。これは、「自分が話したい内容のチャンクを自作して、一人でブツブツとつぶやくようにチャンクの入れ替え練習をしましょう」というものです。

つまり、アプリが流してくれる文章は汎用的ではあるものの、あくまでも一般的な内容であり、自分が話したい内容を訓練しなければ話せるようにはならない、ということです。それは確かにその通りで、自分が話したいこと、話しそうなことをあらかじめ考えて、予行演習をしておこうというのは正しいですよね。

仕事で英語を使っている人の場合は、自分の仕事で話しそうなことを考えて練習するということになります。しかし、私の場合、仕事では英語を使っていないのと、ちょうど英検1級のスピーキング対策を行う必要があるタイミングだったので、つぶやき応用練習は英検1級のスピーキングをネタに行うことにしました

毎日の時間配分としては、30分をパタプラの教材によるリテンションとチャンクの入れ替え練習、30分を英検1級用のつぶやき応用練習に使うこととしました。パタプラでは1日1時間を教材に取り組む時間として推奨していますが、英検の対策にはスピーキング以外にも単語の学習なども必要なため、無理せず教材は1日30分と決めて取り組みました。それでも英検のスピーキング試験に取り組む頃には、開始から180日で合計120時間くらいには到達しましたので、おおむねパタプラが推奨している学習時間をクリアしたことになります。

なお現在では、パタプラの教材で推奨されている復習8回も含めて、すでに全てのレッスンを終えています。したがって、今現在は比較的長い文が含まれているレッスンについて、スラスラ言えるようになるまで1日1レッスンずつ、繰り返し実施しています。(長い文の例:One of the pros is that it will improve our corporate image if we can help the lives of those at the BOP.)

英検1級のスピーキング対策として実施した内容

英検1級のスピーキング試験は、政治・経済・文化・国際社会・環境などの社会問題を題材として、以下の形式で行われる面接試験です。

  1. 5つの質問が書かれたカードを見て、1つの質問を選択し、スピーチの内容を考える(1分間)
    例:Should the use of genetically modified crops be banned?(遺伝子組換え作物の利用は禁止するべきか?)
  2. 質問に対する回答とその根拠についてスピーチする(2分間)
  3. 面接官から聞かれるいくつかの質問に回答する(4分間)

この前半のスピーチについては、1次試験のライティング(英作文)とほぼ同じ出題範囲であり、スピーチの形式も、①結論、②根拠を複数、③まとめ、という形で アウトプットすればよいので、ライティングの対策がそのままスピーチの訓練にもなるのです。

そこで、私が行ったのは、最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇の模範解答の音声を使ったリテンションです。

書籍の付録音声は1ファイル30秒前後になっており、それをまず1文(10秒程度)ごとに聞いてリテンションする。続いて、1文から2文に増やしてリテンションする。最後に1ファイル全体を対象にリテンションする。という形で進めました。

これを、平日は「1日1ファイル」を目安に実施し、翌日には1回目の復習、その週末に2回目の復習、 次の週末に3回目の復習、さらに1ヶ月後に4回目の復習というスケジュールを組んで進めました。この復習スケジュールは、パタプラでも採用されている反復間隔原理を意識して組んだものです。

模範解答音声のリテンション実施スケジュール

いま振り返ってみると、つぶやき応用練習というよりは、ほぼリテンション、というか、ほぼ丸暗記という感じですね。(笑)

ただ、自分が心がけたのは「単に覚えていて、言えればOK」というものではなく、「止まらずに、よどみなく言えるようになって、はじめてOK」という基準を置いていました。面接もそうですが、日常においても、「えーと、えーと」という形でしか話せない内容は、相手を待たせることになってしまうので、結局は話せない結果となります。これは、パタプラで徹底されている「決められた時間内で言い切る」という考え方を参考にしたものです。

こういった形でリテンションを中心とした訓練を行い、自分の中で使えるチャンクを増やすことで、面接にも対応できるスピーチ構成力と瞬発力を鍛えることができたと考えています。

とはいえ、これでも面接でのスピーチは、「よどみなく」という感じではなく、最後のまとめを言っている途中でベルが鳴り、無理やり言い切った形だったので、「落ちたな」と思っていたのですが、結果はギリギリ合格でした。

パタプライングリッシュのメリットとデメリット

というわけで、英検1級のスピーキング合格という一定の成果を得たわけですが、私が考えるパタプラのメリットとデメリットをお伝えします。これから始めようかどうしようかと考えている方々は、下記を参考として検討いただければと思います。

メリット① 英語知識がある人の訓練として最適

TOEICで800点台とか900点台など、そこそこのスコアを取得しているのに思ったようにスピーキングが上達しないなと感じている人は多いと思います。やはりスピーキングは「勉強」というよりも、スポーツと同じで徹底的な「練習」が必要なものです。しかし、練習といってもどうやればいいかわからないという人にとって、まずパタプラは教材に沿ったリテンションとチャンクの入れ替え練習がありますので、迷わずに始められるというのが良い点です。

また、ネイティブとの英会話レッスンでは「同じ表現ばかりを使って会話を乗り切る」ということもできてしまうので、あまり表現が広がらないということもあります。しかし、パタプラの場合は自分が普段使わない表現や、長いので発話できない表現も含めて、強制的に練習することになりますので、表現力を高めたいという方に良いです。

とにかく、「読める、聞ける、なのに話せない」という方にはちょうどよいレベルの訓練になっていると考えられます。

メリット② 音声で完結するので「ながら」作業できる

スマホアプリでの英語学習はいつでもどこでも使えるというのがいいのですが、それでも画面操作をする必要があるので、何か別のことをしながら練習するのは難しいというのがあります。パタプラもアプリなのですが、他のアプリと違うのが「(一部のレッスンを除いて)画面を使わず音声だけで完結できる」という点です。

これはつまり、外を散歩しながらとか、ジムで運動しながらとか、他のことをやりながらレッスンをすることができるということです。これは私にとっては非常に好都合でした。というのは、座って練習をしていると眠くなってしまうという問題があったのです。そこで、早朝のほとんど誰もいないジムでウォーキングしながらブツブツとスピーキングの練習をするよう、やりかたを変えました。これは、眠気覚ましと体のエクササイズになるという点で一石二鳥でした。

忙しい毎日の中で、体を動かしながらとか、家事をしながらとか、何かと並行でレッスンを進められるのは多くの人にとってメリットがあると思います。

メリット③ ビジネス英会話で必要な表現が身につく

パタプラで扱われてる内容は、ビジネスシーンでよく使われる表現が中心となっており、教養のある社会人として認められるためにふさわしい表現を身につけるにはちょうどよいと考えられます。私自身も会議通訳者を目指していますので、基本的な表現として今後必ず役に立つだろうと考えています。

仕事で英語を使っている、またはいずれ仕事で英語を使いたいと思っている方にとって、最適なコンテンツになっています。

デメリット① 購入費用が高い

パタプラは多くのアプリとは違って、月額でのサブスク型ではなく、買い切り型で税込49,800円です(2024年4月30日現在)。

これは他のアプリと比べるととても高額に感じると思います。確かに、月額数百円から千数百円のアプリと比べるととても高いのですが、「買い切り」ということは、これ以上はお金がかからず、ずっと使えるということです。オンライン英会話で毎日話すプランに入れば、月に1万円前後くらいはかかりますので、半年くらいでほぼ同じくらいの金額にはなります。また、英語スピーキングのコーチングスクールでは、3,4ヶ月で数十万円というところもありますので、そういうサービスと比べればだいぶ割安かなと思います。

これは個人の価値観ですので、なんとも言えませんが、私自身はその価値があると思いましたので購入しました。もちろん、60日間の返金保証があるというのも購入を決めた大きな要因の一つです。49,800円という金額は安いとは言えませんが、決めかねている方は返金保証の期間内でしっかりと評価したうえで購入されるのがいいと思います。

デメリット② 英語知識と学習習慣がすでに有る人が対象

パタプラでは毎日1時間の学習時間を推奨しています。これは忙しい現代人にとっては結構ハードルが高いです。これからまったく一から学習を始めようという人にとっては、そもそも時間を捻出するのも難しいでしょう。そういう意味では、「すでに学習に取り組んでいて、毎日の時間を確保できている」という人でなければ、継続するのは難しいと考えられます。

また、パタプラでは文法の解説などはありませんので、たとえば中学・高校で習うような文法事項はある程度把握している方でないと難しいと考えられます。そういう意味でも、「読める、聞ける、なのに話せない」という方にちょうどよい内容になっています。

デメリット③ 自分がしゃべりたいことは自分で工夫して学習する必要がある

最後に、これはパタプラに限ったことではないですが、「これだけをやっていれば、いつかは自分の言いたいことが何でもしゃべれるようになる」という教材はないです。その教材が扱っている内容について、復習も含めてしっかりと取り組めば、その内容については使いこなせるようにはなると思いますが、それ以外に自分が今後使うであろう話題やボキャブラリーについては、自分で準備をして訓練を実施していく必要があります。そういう意味で、パタプラは「教材」の限界をその中でしっかりと示しており、そのために自分自身でつぶやき応用練習を進めるよう促しています。

私自身はその一つのテーマとして、英検1級のスピーキング対策で取り組みました。英検を終えたいまの自分自身の課題として、「比較的かんたんな表現も英語ですっと言えない」と感じており、基本動詞や句動詞を中心とした日常会話で必要な表現を集めて訓練しています。スピーキングは自分にとっては最も難しく、成長を感じづらい領域です。だからこそ後回しになってしまったところがあるので、いま一番重点的に取り組んでいます。

まとめ

改めて上記の内容をまとめます。

  • パタプライングリッシュは、リテンションとチャンクの入れ替えに特化した、スピーキング教材
  • 英検1級のスピーキング対策として、パタプライングリッシュでよどみなく話す訓練をした
  • 同じく、スピーキング対策として、パタプライングリッシュのつぶやき応用練習の考え方を元に、英検1級のライティング教材の音声をリテンションする訓練をしたところ、英検1級のスピーキング試験に一発合格できた
  • パタプライングリッシュはビジネス英会話に必要な瞬発力を鍛えることができるが、どんな内容でも話せるようになるわけはなく、扱っている範囲以外の練習は自分で考えてやらなければならない

オンライン英会話や、他のアプリでスピーキングを練習しても今ひとつ成長を感じられないという方は、一度試してみるといいと思います。リテンションはスピーキングだけでなく、リスニングの強化や、リーティング速度のアップにもつながりますので、やってみて損はないはずです。(ちなみにリテンションの効果については、こちら↓の書籍でも詳しくお伝えしていますので、興味のある方はぜひご一読いただければと思います!)

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