TOEIC対策

いま本当に実践するべき「英語の効率的な学習方法」

2022年9月19日

私は純ジャパ・理系出身で、元々TOEIC600点台でしたが、35歳も過ぎてから英語が好きになり、少しずつ学習を積み重ね6年間、現在ではTOEIC975点(リスニング490点、リーディング485点)となりました。仕事や日常生活で英語を使う機会はほとんどありませんでしたが、書籍やオンライン学習サービスでの自学自習、対面型の英会話スクール、オンライン英会話スクール、フィリピンへの短期留学、プロ通訳者養成スクールなど、さまざまな方法を通じて勉強を続けてきました。

そんな中、過去を振り返ると、これは本当に役に立ったなと思うような学習方法もあれば、あれはほとんど時間を無駄にしたなというようなやり方もあったと思っています。ここではこれから学習をする方々にとってぜひお薦めしたい方法や、これはやらないほうがいいということをご紹介いたします。

ただし、自分の個人的な経験だけに偏った、いわゆる確証バイアス(自分の主張を通したいときに、自分の考えや仮説に合う都合のいい情報や自分の思い込みを正当化する情報を無意識に集めてしまうこと)による感想を述べることは、これから学習する皆様にとって、かえって害になると考えています。したがって、できるだけ理論的な正しさも検証しながら、本当に使える知識を皆様にインプットしたいと思います。

結論

先に結論を述べると、以下のとおりです。

  • 英検やTOEICの試験
  • オンラインのセルフ学習サービス
  • 単語カードのアプリ
  • (中級者以上)プロ通訳者養成スクール
  • (時間がある方)マンツーマンレッスンの語学留学
  • オンライン英会話スクール
  • 対面型英会話スクール
  • 字幕なしの洋画や海外ドラマ
  • 「これをやるだけ3ヶ月でTOEIC900点台」の書籍
  • 「聞き流すだけで英語ペラペラ」のCD

上記の理由を説明していきます。

「最速」の学習アプローチ

逆説的なようですが、最終的に成功を収めるためには、できるだけ失敗に遭遇することが必要です。なぜなら、

  • なぜ失敗したか(原因)
  • どうすれば改善できるか(対応策)

を積み上げていくことでしか人は成長できないからです。

うまくいくことを何度繰り返しても、自分のできること以上のことはできません。本気で成長したいならば、失敗をいとわず乗り越えていくことが必要です。ただし、それは「苦労は買ってでもしろ」とか「苦行の果てに栄光が待っている」というような精神論を述べているわけではありません。

単純に「少し乗り越えにくい壁」に遭遇し、「こうすれば越えられるのか」とコツを掴んで「乗り越える」。これをできるだけ効率よく繰り返すことが、最速で成長するために必要なことだということです。

これは、書籍『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』マシュー・サイド著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)でも「マージナル・ゲイン」として紹介されています。いろいろなことを試して、うまくいかなければ、なぜうまくいかないかを分析し、改善を試す。細かなことの積み重ねが最終的に大きな成功につながることが述べられています。

とはいえ、失敗というものは、大きければ大きいほど辛いものです。成長につながるとわかっていても、失敗はヘコみます。なので、できるだけ「心理的に負荷のかからない失敗になるよう工夫する」というのが、最速の成長につながるコツだと考えています。

効果的な学習法

以上を踏まえた上で、効率がいい方法とその理由を一つずつ述べたいと思います。

英検やTOEICの試験

「うわ〜、試験かぁ。テストとか嫌な思い出しかないよ〜」と思う方もいるかもしれませんが、英検やTOEICなどの検定試験は、とても効率が良い方法です。なぜなら、

  • 自分の実力よりも少しだけ上のハードルに挑戦できる(英検なら上の級、TOEICならもっと上の点数)
  • 自分の現在の実力値を正確に測ることができるのと同時に、強み弱みも明確になる
  • 級を追うごとに、点数を上げるごとに、英語の実力が徐々に高まるように設計されている

からです。どの言語にも「使用頻度が高い重要な単語」というものがあり、英検もTOEICも重要単語を覚えていけば、どんどん級や点数を上げることができますし、それに伴って、海外旅行で困らない→日常生活で困らない→ビジネスで困らない英語力がついていきます。

そして、問題の一つ一つには正解が定まっており、合っている/間違っているを明確に判定できます。間違えた問題の原因を探れば、

  • この単語/文法は知らなかった
  • 単語/文法は知っていたけど間違えて覚えていた/こんな意味があるとは知らなかった
  • 発音を間違えて覚えていた などなど

と軌道修正をかけることができるのです。そして、試験に合格したり、目標点数に到達すれば嬉しいですし、仮に落ちても自分のために受けているだけなので、誰にも怒られません。失敗を気にせずにどんどんチャレンジすることができます。

「いやしかし、単語とか、文法とか、発音とか、もうどこからどうやって勉強したらいいかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。そのとおりですよね。単語集を買ってきて単語を覚えたり、問題を解いて答え合わせをしたり、文法書を買ってきて知識を蓄えたり。自学自習の辛いところは、自分で計画を立てて自分で推進しなければならないというところです。かつてはこれが非効率に感じるところでもありました。

ところが、今は違います。インターネットを使ったセルフの学習サービスが登場しており、従来よりも手軽で安価に、試験に沿った内容を自分で学習できるようになっているからです。次にこの「オンラインのセルフ学習サービス」を詳しく見ていきます。

オンラインのセルフ学習サービス

これはabceedや、SpeaKing Bizのように一人でオンラインの問題を次々に解いていくタイプのサービスです。

abceedは英検であれば級ごとに、TOEICであれば得点ごとに、レベルに応じた問題が出題されます。最初に短時間の模試を受けると、どこが弱点で、どこが優先的に習得すべき箇所なのかを判定してくれ、その後も最優先で取り組むべき問題が表示されるので、次々と出題される問題を解いていくだけでよいのです。

しかも、間違えた問題はしばらく時間をおいた後にまた出題されます。逆に正解した問題はもうほとんど出題されません。これは人間の記憶の特性から言っても非常に効率の良い方法です。「エビングハウスの忘却曲線」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。人間は復習をしないとすっかり忘れてしまうのですが、ある程度時間が経ってから復習をするとまた思い出します。また忘れて、また思い出す。これを繰り返すと記憶がしっかりと定着していき、ほとんど忘れなくなっていくのです。

そして間違えたものほど記憶の定着が難しい問題なので、頻度高く復習すべきなのです。これをうまく方式化したのが「ライトナーの学習方法」と呼ばれるもので、abceedのようなオンラインサービスはこれを自動でやってくれます。

これほどのサービスがとても安価に利用できます。abceedであれば、月に1,650円〜2,000円台です。オンラインの英会話スクールであれば月に10,000円程度、回数が少ないプランでも月に4,000円程度でしょうか。それに比べるとだいぶ安いです。コストパフォーマンスは抜群といっていいでしょう。

単語カードのアプリ

基本的には上記のオンラインサービスだけでいいと思いますが、以下のように個別の事情がある場合は対応できない部分もあるでしょう。

  • 特定分野の専門用語を使った仕事をしたい
  • 自分の興味のある分野で会話ができるようになりたい
  • 通訳者養成スクールのような学校に通っていて、ある出題範囲の単語を覚えたい

このようなときには自分で単語を勉強する必要がありますが、そのときには「手書きの単語カード」を作るよりも、スマートフォンの単語カードアプリを利用すると、効率よく学習をすることができます

例えば、Flashcards DeluxeAnkiのようなアプリを使うと、先述した「ライトナーの学習方法」が実装されていますので、間違えたものほど何度も出題されるということを自動でやってくれます。

これらのアプリは有料だったりしますが、数百円程度で、しかも1回だけ。サブスクのようにずっとお金をかける必要はありません。初期投資だけで使い続けられるので、コストパフォーマンスは高いと考えられます。

(中級者以上)プロ通訳者養成スクール

ある程度レベルが上ってきて、TOEICであれば800点を越えたら、英検であれば準1級を取れたら、通訳学校の授業を受けてみるのも一つの方法です。実は通訳学校には通訳訓練のコースだけでなく、ビジネスパーソン向けの英会話力向上のコースもあったりするので、「通訳になりたい」までのモチベーションがなくても講義を受けることができます。また、間違いなく英会話スクールに行くよりも大きな効果があります。その理由は、

  • 講師がネイティブと日本人のペアである場合が多く、英会話スクールよりもきめ細かいフィードバックがあり、強み弱みをしっかりと把握できる
  • 「英会話」ではなく「通訳訓練」をベースとしているため、日本人が英語を理解/話すために必要な訓練に特化している
  • レッスン自体よりも予習復習、特に復習は徹底的にやるように指導され、会話自体よりも振り返ってマスターすることを主眼にできる

からです。「英会話したいだけなのに、通訳学校なんて大げさだ」と思うかもしれません。また「通訳って元々バイリンガルの人がなるんでしょう?」と思っている方も多いかもしれません。しかし、実はプロの会議通訳者や放送通訳者を見ると、バイリンガルよりも大人になってから英語をマスターした人のほうが多いです。そして、そのような高い語学力を備えるために志望者が行くのは、英会話スクールではなく通訳学校なのです

それなりに料金が高いので、簡単に決められないとは思いますが、ある程度実力が付いてきたときに、もっと高めたい!という方にはお勧めの方法です。

(時間がある方)マンツーマンレッスンの語学学習

私は2020年2〜3月に短期語学留学のため3週間、フィリピンのセブに行きました。ここでは月〜金までの平日、朝8:00から夕方18:00までの一日8コマ、そのうちの6コマはマンツーマンレッスンで過ごしました。週末や放課後も台湾からの留学生と一緒に、観光スポットに行ったり食事に行ったりしたので、基本的にはずっと英語を喋っている環境でした。

日本にいるときとは違う、常に英語を使う環境は、やはり英語の筋肉を鍛えるためにはとてもいい場所でした。ビジネスコースを取っていたため、週に2回、プレゼンテーションをする機会もあり、今まで経験したことのないストレッチを求められました。最初は緊張もしましたし、言葉もなかなか出てきませんでしたが、最後には満足の行く発表もできるようになりました。

ただ、体験してみて思ったのは、やはり留学は英語がそれなりに上達してから行くべきだと感じました。同じ期間で留学した方の中には、現地でI-my-me-mineなど中学1年生の文法からやり直している人がいて、これはとてももったいないなと思いました。そもそも文法用語は日本語でも難しいですし、文法を英語で習うことにはほとんど意味がないからです。

したがって、それなりに学習を積み上げてきて「力は付いてきているはずなのに、なかなかしゃべれないなぁ」と感じている方には大変お勧めです。もちろんまとまった時間とお金は必要ですが、欧米に留学に行くよりもはるかに安い金額で、グループレッスンでなくマンツーマンを基本にしたスクールに行けるのはとてもコストパフォーマンスが高いです。

効率の悪い方法

では、逆に時間とお金を無駄にしたなぁという学習方法について述べたいと思います。

オンライン英会話スクール

一番最初に述べた、「失敗と改善を繰り返す」という観点から考えると、英会話スクールというのはあまり効率がよくありません。その理由は、以下です。

  • 「成長したか」よりも「気分良く受講したか」が主になってしまう
  • しゃべれている「気分」になってしまう
  • うまくいかなかった点を振り返ることがほとんどない

その詳細については、以下の記事にまとめましたので、ご参照ください。

英語学習方法

ネイティブとのレッスンは非効率!〜英会話スクールが時代遅れになってしまった理由〜

私は現在TOEIC975点ですが、かつては英語力がなかなか上がらず、得点も伸び悩んだ時期がありました。その頃、多くの時間を英会話スクールでのレッスンに使いました。対面の英会話スクールも通いましたし、オ ...

対面型英会話スクール

これは、オンラインスクールと同じ理由で非効率だと思っていますが、さらに輪をかけて

  • 教室までの移動に時間を要する
  • オンラインスクールよりも金額が高い

という理由があり、もうこれは今後取り合えない選択肢だなと思っています。ちなみに先述したプロ通訳者養成スクールも、コロナ禍以降オンラインに切り替わっています。

字幕なしの洋画や海外ドラマ

純粋に映画やドラマを楽しむという目的ならいいと思いますが、英語学習という観点で考えると、正解スクリプトがない状態では失敗を認識することができないし、それゆえに軌道修正することもできません。効率の良い学習方法とは言えないでしょう。

またときどき、英語の学習目標を「洋画を字幕なしで観られるようになる」とされている方もいらっしゃいますが、これは極めて高い目標設定で、ビジネス英語をマスターするよりもよっぽど難しいです。ネイティブ同士の日常会話はスピードがものすごく速いですし、文化的な背景を理解していなければわからない会話もあるし、新しい言葉はどんどん生み出されているわけですから、やってもやっても追いつかないでしょう。

これについては20ヶ国語を操れる達人の方も「外国語映画を理解するのは困難」と述べているこちら)ので、その通りなのだと思います。

「これをやるだけ3ヶ月でTOEIC900点台」の書籍

この手の本が巷にあふれており、実は私も試してみたことがあります。私が読んだ本では、

  • TOEICの公式問題集の解答冊子を隅から隅まで読む、問題を解く必要はない
  • リスニングは訓練する必要はない、リスニングのパートもスクリプトを読むだけでよい
  • ただし、旧形式、新形式のすべての公式問題集を入手し、繰り返し読み込んで理解する

とあり、一定期間やってみましたが、私には効果がありませんでした。せいぜい「知らない単語をピックアップして覚えることができた」程度で、それ以上の効果はありませんでした。

書籍に書いてあることは決して嘘ではなく、「その著者にとっては」本当に効果的な学習方法だったんでしょう。しかしそれが万人に使えるかというと疑問です。理由は最初に述べた「失敗と改善を繰り返す」というアプローチになっていないからだと思っています。

「聞き流すだけで英語ペラペラ」のCD

これはもう、詐欺だと思っています。理由は明確で、わからない言葉を何回聞いてもわかるようにはならないからです。しかし誰も詐欺だと証明できないところがすごい、よくできた「商売」だと思います。

まとめ

結論

以上をまとめますと、

  • 英検やTOEICで現在の実力や強み弱みを見える化する
  • オンラインのセルフ学習サービス(必要に応じて単語カードアプリ)を使って、失敗と改善を繰り返し、一歩ずつ着実に英語力を定着させていく
  • 時間とお金がある方は、プロ通訳者養成スクールやマンツーマンレッスンの語学留学も検討する

ということになります。

ただし人によって合う/合わないはどうしてもある

上記が最良の方法と考えてはいますが、やはりどうしても人によって好みがありますので、好きになれない方法をずっと続けるのは避けたほうがいいです。例えば、「試験となるとどうしても緊張してしまい、受けに行くのが苦痛でしょうがない」という方が、毎月毎月英検やTOEICの試験を受け続けたらどうでしょうか?

「やっているうちに慣れて何でもなくなった」ならラッキーですが、何度やっても好きになれないことを続けていると、イソップ童話の「きつねとぶどう」のようにいわゆる「認知的不協和」が発生してしまいます。つまり「あのぶどうは酸っぱいに違いない。別に食べたくも何ともない」というように、「英語がしゃべりたかった自分」という理想の方を否定するようになり、チャレンジしないことの正当化に走ってしまうようになるでしょう。

実はわたしはかつて職業作曲家を目指していた頃がありました。自分の大好きな音楽で人を喜ばせることを職業にできたら、どんなに素敵だろうと思い、活動に取り組んでいました。しかし、師匠の先生と折り合いが悪く、先生とのやり取りを続けているうちに、夢に向き合うのが苦痛になってしまい、ついにはどうでも良くなってしまっていました。先生の元を離れても、かつて持っていた情熱を感じることができなくなってしまい、結局は辞めてしまいました。

しかしまずは試す価値はある

そう考えると、試してみて、しばらく続けてみて、自分には合わないと感じたら、やめて次の方法を試すほうがいいと思います。しかし、まだ上記の方法を経験したことがない方は、ぜひ試してみてください。多くの方が成長できる、再現性のある方法ですので、成功する確率は高いと考えています。

■著書紹介
TOEIC®スコアUPは『デジタル』が最速 第二言語習得論に基づくアプリ徹底活用術
当サイトやストアカ講座で提供している情報をギュギュっと1冊にまとめました。

アプリひとつだからこそできる、最短・最速の学習法を伝授!
「どうすれば学習が継続できるのか?」から、単語・リスニング・リーディングの具体的な学習方法、TOEICのスコア別おすすめの学習内容、よくある質問まで完全網羅。これから英語を始める方はもちろん、やってみたけど続かなかった、いろいろやっているけど伸び悩んでいるなど、さまざまな段階の方々に合ったTOEIC対策の決定版です。

-TOEIC対策
-, , ,